ミュージカル座
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「何処へ行く」のハマナカトオルとtakコンビの最新ミュージカル「マザー・テレサ 愛のうた」の稽古場から、新作ミュージカルが完成するまでをお伝えする『稽古場だより』です。2月19日の初日開幕まで更新してまいります。どうぞお付き合いください!

昨年11月の初演が好評だったミュージカル「マザー・テレサ 愛のうた」。小さな会場から大きな会場に移って、「グランド・ミュージカル・ヴァージョン」として上演する公演の稽古が始まりました。歌稽古を仕切るのは、初演に引き続き音楽監督助手をつとめる守屋由貴さん。作家コンビの信頼も厚い優秀なミュージカル人です。音楽監督助手と共にマザー・テレサの一番弟子となったスバシニ(シスター・アグネス)役も演じ、美しいソロを聞かせてくれます。

守屋由貴「昨年11月のコンサートヴァージョン「マザー・テレサ 愛のうた」から、大劇場ヴァージョン「マザー・テレサ 愛のうた」へ。引き続き、音楽監督助手を務めさせて頂いています。カンパニーの人数も11月の3倍近くの人数になり、上演時間も長くなり、新しいナンバーや登場人物も増え、そして同じ曲だと思ったら細かい変更や新しいメロディーがあったり……『また新作に取り組む』という勢い、新たな気持ちで作品と向き合っています。まずは歌稽古を中心として、年末からお稽古が始まりました。ピアノに座って聴く厚みのあるコーラスに、顔がにやけてしまう毎日です。私は、音楽には不思議な力があると思っています。直接伝えるのは恥ずかしいような言葉でも、音楽に乗ると、とても自然に、しかもパワーアップして心に届きますよね!?(世の中のラブソングなど参照。笑) マザーテレサの言葉は、言葉だけでも十分に私たちの心を動かすものです。その言葉の数々が音楽に乗って劇場に響き、もっとすーっと真っ直ぐ皆様の心に、そして私たちの心にも染み渡る素敵な作品になることと確信しています。美しい音楽で綴られる愛に溢れたメッセージを受け取りに、是非2月劇場に足をお運びください!」

歌稽古に続いて年末から振付がスタートしました。振付を担当するのは、演出のハマナカトオルです。約一ヶ月をかけて、40曲にもなるミュージカル・シーンのステージングを付けて行きます。劇場が大きくなり、舞台美術のデザインも変わり、振付も新しく生まれ変わっています。

ハマナカトオル(作・演出)「昨年の夏から、一日の休みもなく、ずっとこの「マザー・テレサ 愛のうた」の創作にかかっています。これからの日本、これからの世界には、マザー・テレサが必要だと考えています。私たちの頭のどこかに、マザー・テレサを住まわせた方がいいと思っています。『世の中にマザー・テレサを』そんな思いが強くなり、このミュージカルを製作しました。彼女の考え方や人生、言葉の数々が、歌となって、私たちの心に刻まれますように。まずは、私たちが勉強をしたいと思っています。マザー・テレサはキリスト教徒ですが、助ける人々の宗教は問いませんでした。亡くなった時には、その人の信じる宗教で葬るようにしていました。彼女の言葉や行いは、仏教にも通じるところがある、どころか、一般の日本人より仏教の心に近いと思っています。キリスト教にお祈りがあり、仏教にお経があるように、私たちミュージカルの世界の人間は、歌の力を信じています。言葉をメロディーに乗せて唱えることで、力を持つのが歌です。ミュージカルの特性を活かした、人々の心のための舞台作品を創りたいと思っています。」

上の写真は、小さき花のテレーズを演じる田宮華苗さんと、マザー・テレサ役を演じる伊東えりさんです。小さき花のテレーズは、マザー・テレサが大きな影響を受けた修道女で、24歳で亡くなりました。テレサという修道名も、テレーズに由来しています。

マザー・テレサ役を演じる伊東えりさん。過去、ミュージカル「ルルドの奇跡」の聖女ベルナデット役を3度演じて、東京芸術劇場ミュージカル月間優秀賞を受賞されています。今回は、20世紀の聖女役に挑みます。ジャーナリスト役の岸田敏志さんとは、初演「ミス・サイゴン」のキムとクリスの間柄で、こちらもミュージカル・ファンには楽しみな共演です。

左上の写真は、カルカッタのスラム街にやって来たマザー・テレサに、お金をねだるスラムの子供たち。マザー・テレサは、学校にも通っていない子供たちに、路上で勉強を教え始めます。右上の写真は、「子供は神様の贈り物」と歌い踊るナンバー。伊東えりさんと子供たちによる楽しいミュージカル・シーンに、稽古場で見ていた人も、思わず笑顔に。

毎日ステージングが続いています。キャストの動き、音楽、舞台装置、小道具、衣裳、照明、映像、全ての力を総動員して、マザー・テレサの世界観が描かれて行きます。動きを作るなかで浮かび上がってきた音楽上の変更点も、その日のうちに修正されて行きます。オリジナル作品の初演は、試行錯誤の連続です。よりよい表現を求めて、想像力の闘いが続きます。

左上の写真は、マザー・テレサの母親ドラナ役を稽古するわたりあずささん。彼女のセリフ「いいことをする時は、海に石を投げるように、黙って行いなさい。」は、この作品中の名言のひとつ。幼いマザー・テレサに大きな影響を与えました。右は、カルカッタの街のシーンを稽古する伊東えりさんと、高野絹也さん。今日、初めて芝居を合わせた時から、息もぴったりです。

この作品の語り手、ジャーナリスト役を演じる岸田敏志さん。長年、マザー・テレサを取材して来て、彼女の伝記を書くことを決意する人物です。岸田敏志さんは、昨年3月の「何処へ行く」ペトロニウス役以来のミュージカル座出演です。

青山明さんは、ミュージカル座初出演。劇団四季で7,000回の舞台出演歴のあるベテランです。青山さんは、新聞社社長役と、警察署長役の2役を演じます。

左の写真は、アッシジの聖者フランシスコ役を演じる原田優一さん。といっても、教会の聖歌隊が演じる劇中劇の中の聖フランシスコ役です。原田さんは、この役と、マザー・テレサの支援者となったカルカッタのマイケル・ゴメス役の2役を演じます。右は、エグゼム神父を演じる大谷美智浩さんと、修道院長を演じる牧野亜美さん。エグゼム神父は、マザー・テレサの良き理解者でした。一人一人のキャストが、まさに適役の「マザー・テレサ 愛のうた」、その配役の素晴らしさも、ぜひご堪能ください!

田宮華苗さんと水野貴以さん演じるジャクリーヌ・ド・デッカーは、貧しい人を助けたいと、ベルギーからカルカッタにやって来た看護師です。マザーと同じ志を持っていたことから、マザー・テレサは「もう一人の自分」と呼んで頼りにしていました。ノーベル平和賞の受賞式にも、マザーはジャクリーヌを招待しました。そのシーンは、どうぞ舞台でご覧ください。

道で行き倒れた老婆を死ぬまで抱き続けるマザー・テレサ。彼女は、見捨てられた人々が人間として尊厳を持って死ぬ事が出来る施設を作ります。右は、カルカッタの警察署長を演じる青山明さん。警察署長はヒンズー教徒で、マザーの活動を止めさせようとやって来ますが、マザーの行動に感銘を受け、マザーを応援するようになります。

最後のシーンまで全てのステージングが付き、通し稽古週間になりました。流れでストーリーをさらうなかで、問題点が修正されて行きます。全体像と共に場面の意味も浮かび上がり、この作品に対するキャストの理解度も深まって来ました。よりよき演技を模索して、改善点が話し合われています。

j-musical-info、立花裕人さんの取材を受けました。左から、原田優一さん、立花裕人さん、伊東えりさん、岸田敏志さんです。インタビューの内容は、j-musical-infoさんのサイトでご覧ください!

劇場の舞台と同じ大きさが取れる広い稽古場に移動して、4日間の実寸稽古が行われました。衣裳や小道具など、演技で使うものは全て搬入され、通し稽古と抜き稽古が繰り返されました。作品の感動が、形となって現れてきました。これから劇場にはいり、舞台装置、照明、映像、音響などとの合わせを行い、いよいよミュージカル「マザー・テレサ 愛のうた」グランド・ミュージカル・ヴァージョンの幕が開きます。 ハマナカトオル「マザー・テレサは、1997年に亡くなりましたが、このミュージカルをご観劇くださった皆様が、もう一度マザー・テレサの魂に触れられるような時間になりますことを願って、幕を開けたいと思います。そして、マザー・テレサの愛が、一人でも多くの方に伝わって、この世の中に、微笑みが少しでも増えますように。そのために、私たちはミュージカルを上演しようと思います。(上演プログラムより)」